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肘関節内側側副靱帯損傷って何?

  • physical-infinity
  • 2017年5月30日
  • 読了時間: 3分

今回は、肘関節の内側側副靭帯損傷についてです。野球だけではなく、オーバーヘッドスポーツに多い障害の一つです。しっかりと障害について把握しましょう。

まずは、わからない方のために解剖の部位を載せておきます。

《病態》

小児期の障害は、内側上顆靭帯付着部の剥離骨折を呈し、リトルリーガー肘(リトルリーガーズエルボー)と呼ばれます。小児期には剥離骨折が治癒せず、偽関節になってもパフォーマンスレベルが低いため、症状に出にくいと言われています。しかし、青年期になると、パフォーマンスレベルが高くなると同時に内側の不安定性をきたし、疼痛が出現してくることがあります。

靭帯実質部の損傷は、中学校高学年から出現し、繰り返す損傷に対する靭帯変性が原因と言われています。

内側側副靭帯損傷の訴えは、肘関節内側痛、全力投球不能、球速低下、遠投距離低下となります。発症は、徐々に痛くなる慢性型と急激に出現する急性型があります。中学・高校生では慢性型、大学以降では急性型が多いと言われています。

合併症は、変形性肘関節症や尺骨神経障害が見られます。肘頭疲労骨折や肘頭骨端離開、さらに離断性骨軟骨炎の合併もあります。

《診断》

内側側副靭帯部に圧痛が存在します。外反ストレステストは、やや屈曲位で上腕骨と前腕骨を把持して外反ストレスをかけると、肘関節の内側が開大し疼痛をきたします。開大の大きさとパフォーマンスは一致しないと言われています。

《治療》

内側側副靭帯と屈曲回内筋の作用は異なるものであり、互いに補助できるものではありません。したがって、靭帯損傷を筋力増強によって補うことは不可能です。初回疼痛をきたした後には、3ヶ月の投球禁止を試みるべきであるとされています。疼痛が残った場合で、競技復帰を希望する場合には、手術が適応となります。手術はリトルリーガー肘では骨接合術を、靭帯実質が損傷すれば靭帯再建術が必要となります。

引用文献:辻野 昭人 肘の代表的スポーツ障害の病態と治療

いかがでしたか?

野球肘を完全に予防することは極めて困難とされています。熱心に練習や試合を行うに従って、野球肘の危険が高くなります。ある文献によると、野球肘を予防するためには、投球数と投球内容の両方、中学生には全力投球と遠投の制限をすべきというのもあります。

忘れてはいけないのは、一度損傷を受けてしまうと球技復帰までに時間を費やしてしまうということです。そうなる前に、違和感や調子が悪いと感じたら早期の受診や、定期的なメディカルチェックを心がけるようにして下さい。

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