離断性骨軟骨炎(OCD)とは?
- physical-infinity
- 2017年5月16日
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出来れば、あまり患者さんとして診たくない病名の一つです。野球選手に多い病名ですが、あまり理解していない指導者、保護者も多いのでは。これを機会に、再確認してみましょう。
《離断性骨軟骨炎(OCD)とは》
投球時には肘関節に外反力が働き、上腕骨小頭には圧迫力と剪断力が加わり上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(OCD)を発症する。OCDは少年期の野球肘の中で最も重篤な疾患である。スポーツ活動の著しい制限を余儀なくされるばかりでなく、日常生活でも障害が残ることも多い。OCDの頻度は1.7~1.9%と言われている。
《X線診断》
OCDのX線像は、透亮期、分離期、遊離期(*図1)に分類される。透亮期は早期病変であり、予後良好である。透亮期における扁平部は新生骨によって修復されるが、この間に投球による外力が加わると、不安定な骨軟骨片が形成される。これが、透亮期から分離期への変化である。

《超音波診断》
超音波検査は軟骨下骨と軟骨層を同時に評価可能であるため、X線検査にて検出不可能な早期病変や軟骨層のみの遊離なども描出可能である。
《治療方針の決定》
OCDは、難治性で臨床経過も長いため、“保存療法か手術療法か”“野球活動を継続させるか中止させるか”“中止した場合、いつから再開させるか”という点において、苦慮されることが多い。治療方針決定の主な指標は以下の5つである。
1.野球活動を休止することで、治癒する可能性が高いか低いか
2.病巣範囲(外側型・中央型・広範囲型)*図2
3.野球に対するモチベーション
4.手術療法に対する恐怖心・抵抗感
5.野球活動休止のメンタルへの影響

引用文献:
原田 幹生:上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の診断と治療 臨床スポーツ医学2013 Vol.30
岩堀 祐介:離断整骨軟骨炎への病態に即した対応〜保存的対応か手術か〜 臨床スポーツ医学2015 Vol.32
どうでしたか?今回はOCDについて紹介しましたが、臨床経過が画一されていないのが現状です。そのため、個々の症例の局所の経過を慎重に観察する必要があります。この病態は学生という不安定な時期に生じるため、症例の精神状態や保護者の考え方も総合的に判断し、みんなでフォローしていくことが大切ですね。
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